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稲村堂作業日誌

科学雑誌を読む日々。

科学雑誌を読む

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 『ネイチャー』 2014/10/09号を、いつものコーヒーショップで読む。

 今週号の表紙にも取り上げられている、インドネシアの洞窟壁画の年代測定結果を報告した論文に関する解説記事をまず読む。タイトルは"Art on the move(旅する芸術)"(p.170)。ちなみに表紙の写真の動物は、水牛の一種を描いたものらしい。
 映像資料もある。 http://bcove.me/0hj0fv66

 今回の報告のポイントは、このスラウェシ島の洞窟壁画の一部が少なくとも39,900年前に描かれたものであろうという点。これは、最も古いとされてきたスペインのエル・カスティージョ洞窟の壁画とほぼ同じ古さだということ。これまでアジアでこれほど古い壁画は見つかっていなかった。

 今回の年代測定の対象となった壁画の一つは、「手形」(「ハンド・ステンシル」と呼ぶらしい)。もう一つは「ブタシカ」という動物の絵(豚+鹿?)。"手形"というのは、洞窟壁画でよく描かれているように思うけど、なんで古代の人たちはそんなものを残そうとしたのかな? 絵が描けたことが、その手で描けたことがうれしかったのかも。

 ちなみに手形は、手を岩の上において、その上からスプレーのように顔料を吹き付けたと想像されるもの。たぶん口に顔料の液を含んで、手のひらの上からぷーっと吹き付けたのだろう(想像)。この手形を「ネガ像」だとすると、逆に、手のひらに顔料をつけて、凹凸があるだろう岩の表面にペタンとスタンプのように押した手形(ポジ像)よりも、ビビッドに手の形が残るのが気に入っていたのだろうか?

 ブタシカというのは、動物学的には確認されていない種であるらしい。とすると、想像で描かれたのだろうか? きっとそれに近い動物を獲物として捕まえたかったのだろう。願かけで描かれたのかもしれない。疑問(あるいは妄想)は次々にわいてくる。

 そういえば、『I.W──若林奮ノート』(書肆山田2004)という本で、著者がヨーロッパの壁画のある洞窟を訪れたときの詩的な記録を以前読んだことがある(目次を調べてみると、上記のスペインの洞窟に関する言及もあるようだ http://bit.ly/11qzxka)。再読したくなった。

Nature 514, 170-171 (09 October 2014)

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