稲村堂作業日誌

科学雑誌を読む日々。

今日のダーウィン

[1835年3月4日]181年前の今日、ビーグル号航海中のC.D.(当時26歳)は、チリ中南部コンセプシオンの地にいる。前月下旬に自身も遭遇した大地震のその後について記述している。

 

◉コンセプション Concepcion の港に入った。鑑が碇泊場へと進退している間に、私はキリキナ島 Quiriquina に上陸した。その領地の執事が二十日の大地震の怖しい報知を私に知らせに*うま*で馳せつけた。――「コンセプションにも、タルカフアノ Talcahuano (港)にも、家屋は一軒も立っていないこと。七〇ヵ所がひどく壊されたこと。大浪がタルカフアノの廃墟をほとんど洗い流したこと」を。〔…〕この島を巡って歩いている間に、多くの岩石の断片を見た。それに附着している海産物を見ると、この岩は最近まで深い海底にあったものに違いないが、浜に高く打ち上げられていた。その岩の一つは長さ六フィート、幅三フィート、厚さは二フィートあった。

 

――『ビーグル号航海記 中』 チャールズ・ダーウィン岩波文庫1960)p.197